金曜日, 6月 29, 2007

銘酒の蔵元は佐々木蔵之介の実家

昨今は焼酎人気のおかげで日本酒はあまり飲まれなくなってしまった。それでも、旅に出かけると、なぜかそれぞれの地元の日本酒を欲してしまう。飲兵衛ならではのことだが、やはり地元ならでのお酒があったりして、ついつい蔵元を探しては、試飲と言いつつ何杯も飲んでしまう。(笑)

これまでに数多くの蔵元を訪ねきたが、なかでも印象に残っているひとつが、京都の佐々木酒造だ。現在、伏見を除く京都市内(洛中)には3軒の蔵元があるが、ここはそのひとつである。京都というところは、水が豊富で平安時代から酒造りが盛んな町であった。室町時代には342軒もの蔵元があったという古文書もあるぐらいだから、間違いなく全国一の酒どころであったに違いない。そして、江戸時代元禄年間には酒造高が13万石、造酒屋が1000軒余となり、京都は水の町というより酒の町と化していた。(笑)しかし、その後何度かの大火や区画整理によって、数多くの蔵元はおいしい水を求めて洛中から伏見に移転してしまい、現在ではたったの3軒になってしまった。

その3軒の蔵元を取材する仕事したのだが、佐々木酒造を訪れる前に私はちょっと道に迷ってしまい、人に道を訊ねたら「ああ、蔵之介さんの家ね。最近、若い女性がいっぱい訪れるようで、人気あるみたいね」と言われて、初めて俳優・佐々木蔵之介の実家であることを知った。

佐々木蔵之介は高校卒業後、東京農業大学農学部醸造学科に進学するもののすぐに中退。翌年神戸大学農学部に入学。大学卒業後広告代理店に勤務して、将来は醸造の道へ進むはずだった。しかし、大学時代に始めた芝居にずっぽり浸かり、腹筋善之介、西田シャトナー、保村大和らと共に劇団惑星ピスタチオを結成して、関西では一躍人気役者となった。このために、勤めていた会社も辞めて、役者として生活するようなっていった。

私が訪れたときはNHKのテレビ小説『オードリー』の幹幸太郎役を演じた後だったので、世間的にも名が知られるようになり、ちょうど脚光を浴びるころだったのかもしれない。現在は大河ドラマ『風林火山』で真田幸隆役を演じているので、ぜひとも見ていただきたい。

そんな彼と私は仕事をしたことはないが、終演後の宴席で話をしたことがある。で、ある時、私が取材に行ったときにお兄さんに丁寧に応じもらったことを話したら、彼は「聞きました、その話。お酒より芝居の話になったそうですね」と。いや〜、私はそんなことはなかったと思うのだが、ついつい試飲していたら、芝居の話になったのかもしれない。「取材はともかく、とても美味しいお酒なので嬉しかった」ですと伝えると、彼は本気で喜んでいた。

京都にお住いのみなさんも、アメリカにお住いのみなさんも、ぜひとも佐々木酒造のお酒を一度飲んでみてください。「聚楽第」「古都」など十数銘柄があるが、なかでも川端康成の揮毫(きごう)したラベルの「古都」は逸品です。よろしくお願いします。(笑)

なお、佐々木“蔵之介”という芸名は、実家が酒屋さんということから付けられていることは云うまでもない。

佐々木酒造
http://jurakudai.com/web/index.html

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