日曜日, 6月 29, 2014

都議会議事場に「監視カメラ」を

今回の都議会自民党男性議員らによるみんなの党・塩村文夏議員に対するヤジは、いかに自民党議員たちが品がなく、民度(知的および教育水準)が低く、男尊女卑に満ちた資質をもっている議員たちの集まりであるかということが明らかになった。

そして、鈴木章浩都議(大田区選出)だけを生贄にして、幕引きしようとしているが、とてもじゃないが、今回のことは忘れることはできない。つまり「早く結婚した方がいいんじゃないか」とヤジった鈴木都議以外にも「自分が産んでから」「やる気があればできる」「動揺しちゃっじゃねえか」といったヤジが複数の議員から発せられているのに、と書いていたら・・・。

「がんばれよ」と「動揺しちゃったじゃねえか」というヤジは民主党の山下太郎都議(北多摩第四選出)が発したことが判明した。まったくもって彼も情けない男である。山下都議はこれは塩村議員を応援するためのものだったと言っているが、確かに応援する意味も含まれているが、結果的に最初のヤジを助長もしくは幇助している。山下都議にも次の選挙では鈴木都議同様に痛い洗礼が待ち受けているだろう。

それにしても、鈴木都議は悪質である。彼はヤジ問題当日のマスコミへのインタビューで自分は言っていないと嘘をついていたのに、それがネットを中心とした世論でやり玉に上がり、党本部からも三下り半をつけらたことによって、5日後になって名乗りでるという有様だった。そして、謝ったものの、その理由は曖昧であり、また議員辞職をすることもなく、ノウノウと議員を続けようとしている。彼は「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉を知らないようである。

一方で、こうした都議会のヤジ体質の追及の声に対して、自民党議員を擁護するためかネット上には「追及して都民に何の利益が?」「彼女のために議会や都議は存在するのではない」といった話の論点をすり替えようとするヤカラが出現したが、こうしたヤカラの根っこには明らかに差別主義があり、それは男女差別だけでなく、ヘイトスピーチのような人種差別的な思想も内在している。いずれにしろ、右翼的体質もしくは超保守的体質な人物は強圧的であり男尊女卑および人種差別の思想が内在している、と言っても過言ではない。

とにかく、今回のこうしたヤジ問題が起こらないためには、都議会には議事場全体を映す「監視カメラ」を設置して、ヤジや居眠りにいたるまで一挙手一投足が分かるようにしてもらいたい。少なくとも都議会議員は税金で養われているのだから、これぐらいされても構わないはずである。


金曜日, 6月 27, 2014

美食日記「飛羽(ひわ)」(麻布十番)

麻布十番に馬肉料理の美味しい店ができたと“風の便り”に聞いたので行ってきた。

場所は新一の橋交差点北東側(地下鉄6番出口目の前)にあるお店。看板のネオンは外国人を意識してか「HIWA」。そして、入口部分はオープンバーになっていて、いかにも麻布十番ぽい。ところが、そのオープンバーの奥にある背の低い入口を入ると、L字型のおしゃれなカウンター(10数席)があり、またその奥には個室が2つ(8名までと4名まで)ある。

ここではまずは馬刺しを食べよう。熊本からの直送だから、とにかく新鮮で美味しい。こんな美味しい馬刺しは東京ではなかなか食べられない。このほかにも有明海・玄界灘から取り寄せられている魚介類、産地直送の野菜の焼き物などメニューは豊富だ。

お酒は日本酒と焼酎が主体のようで、日本酒は広島の「竹鶴」や鳥取の「日置桜」など東京ではあまりお目にかかれないお酒もあった。また焼酎も芋・麦・米とあるが「伊佐美」「魔王」「森伊蔵」といった美味しい銘柄が揃っているのも嬉しい。ほかにもワインやソフトドリンクなども揃えている。

熊本に惚れ込んだオーナーがオープンさせたというお店らしいが、店員さんたちも熊本や九州のことが詳しい、詳しい。九州出身の人が訪ねると嬉しい店かもしれない。デートで使うもよし、同僚たちと気軽に会食するもよし、個室で女子会を開くもよし、とにかくいろいろなニーズに応えてくれそうな店である。そして、なによりも馬肉好きの人にはたまらない店である。

飛羽
http://www.hiwa-dining.com/

・馬刺し5種盛り合わせ(写真上)
赤身・霜降り・フタエゴ(霜降りの一種)・コウネ(タテガミの脂)・心臓
・ヤングコーン焼き(写真中)
・海鮮わっぱめし(写真下)

飛羽割烹・小料理 / 麻布十番駅赤羽橋駅六本木駅

夜総合点★★★★ 4.0


水曜日, 6月 25, 2014

物価が安定しているからと・・・

先日、アメリカ人と話をしたときに話題になったのが日本の食事。彼は日本の料理は美味しいが、量が少ない、とごく当たり前の感想を述べたが、私が意外だったのは、加えて料金が安いという一言だった。彼によると、ラーメンが800〜1000円(8ドル〜10ドル)は破格だという。ニューヨークだと税 & チップ込みで20ドルはするという(何年か前は15ドルぐらいだったような)。それに日本ではライスやチャーハンが無料で付いてくるのも信じられないと。

確かに日本の食事の値段は安いような気がする。昼飯にしてもコンビニで売っている弁当は500円ぐらいである。これがニューヨークでデリで弁当みたいなものを買うと軽く10ドルを越える。私はヨーロッパのことをよく知らないが、おそらくそんなにアメリカとは大差がないのではないだろうか。

しかし、我々は日本の食事が安いからと喜んでばかりはいられない。というのも、それはそれだけ日本の平均所得が低いという裏返しにつながっているからだ。日本の給与水準はこの10年ほとんど変わっていない。それに対してアメリカの給与水準はこの10年で1.39倍もあがっている。もちろん、その間に物価は26%上昇しているが。

ところが、日本はどうだろうか。物価も年収もほぼ横ばいもしくはマイナスである。つまり、アメリカはこの10年で年収が実質13%増えたのに対して、日本は消費税アップなどを考えると年収は確実にマイナスになっている。政府は現在、企業に給与を増やすように務めているが、その恩恵を受けているのは一部大企業の社員だけである。一方で、残業代を削ろうとしている政策も行っていて、実態は年収を増やす政策をしていないのである。

もはやアベノミクスと浮かれた人たちはいない。

木曜日, 6月 19, 2014

美食日記「イグレック」(麻布十番)

冒頭から暴論で申し訳ないが、私はお酒がまったく飲めない人は人生の半分を損していると思っている。また1人フレンチを楽しむ人には申し訳ないが、美味しいものを食べるには、やはり美味しいお酒と会話を楽しむ相手が必要だと思っている。1人フレンチは食通になれるかもしれないが、人生のプラスαを得られていないのではないだろうかと思っている。

しかし、しかし、である。カウンターでのフレンチ、それも手頃な値段で美味しいものが食べられるとなったら、それは大いにありだろう。まして、このお店のようにカウンター7席のみで、シェフが作る料理を眺めながら、フレンチを楽しめるところはもってこいではないだろうか。

麻布十番といっても不良中年や不良外人が多くいる雑踏がひしめくあう麻布十番側ではなく、とても静かな三田側にあり、お店も1階に構えているわりにはひっそりと佇んでいる。カウンターだけのお店ということもあり、シェフの田代康さんがひとりで料理を作り、サービスも行うという完璧な個人商店だ。店内はとにかく綺麗。オープンしてもうすぐ4年になるというがピッカピカ。

こうしたお店は人にはあまり教えたくない隠れ家レストランとして封印しておきたいのだけど、あまりお客さんが来なくてクローズなんてなってほしくないので、1人フレンチ愛好家のみなさん、そして麻布十番の喧噪から離れたい方はぜひとも行ってくみてはいかがだろうか。ちなみに、イグレックとはフランス語でYのとことである。

ちなみに、私が食したのは下記の通り。
・エスカルゴのクリーム煮(写真上)
・アーティチョークのバリグルール風(写真中)
・ウズラのファルシ(写真下)
注:写真の料理はシェアするために、いずれも1品を半分にしているもの。

イグレックフレンチ / 麻布十番駅赤羽橋駅

夜総合点★★★★ 4.5


火曜日, 6月 17, 2014

新国立競技場の骨子は有名無実だ

先月末に新国立競技場の完成予定の骨子が「国立競技場将来構想有識者会議」という有害無益な会議によって決まった。

 


写真を見ればわかるように、競技場の大きさは縮小された。写真左が最初のデザイン、右が今回発表されたデザイン。

概要は下記のようなものである(毎日新聞記事)

 ◆建物概要
 地上6階、地下2階の鉄骨造りで、延べ面積約21万平方メートル。スタンドは3層構造となる。建物の高さは昨年11月時点の案から天井部分のアーチの形状をなだらかにするなどして70メートルに抑えた。景観への配慮を求める建築家グループらの指摘を踏まえた変更で、森喜朗委員(元首相)は「関係者の違和感を緩和するため、きちんと説明していかなくてはならない」と、今後も柔軟な対応を求めた。

 ◆特徴
 臨場感を高めるためグラウンドにせり出す可動席をラグビーやサッカーで1万4774席、陸上で7668席設ける。収容人数はサッカー、ラグビーで8万137人、陸上で7万2634人。車いす席は120席だが一般席の取り外しで400席まで対応する。
 コンサートなどで利用できるように遮音性の高い開閉式屋根も設置。積雪の荷重対応で、電気ヒーターによる融雪装置を付ける。芝の育成のため南側の固定屋根部分5面に透過率70%の透明材を使用。日射量や通風を補うため芝生促成用照明、大型送風機も使う。

 ◆概算工事費
 本体整備約1388億円、周辺整備約237億円の計1625億円。別に解体費67億円がかかる。当初の総事業費は1300億円だったが、イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏の壮大なデザインでは3000億円にも上る可能性が出て、昨年11月に立体通路などを縮小して費用を抑えた。ただ現在の試算は昨年7月時点の単価で、その後の建築資材の高騰や、消費税アップで更に上積みされる可能性もある。

ということである。

しかし、まだまだ問題点が解決されているとはとても思えない。可動席を設けても使われるのはオリンピックのサッカー決勝やラグビーのときだけではないかという懸念がある。つまり、その後のJリーグの試合などで、可動席にするにはお金がかかるとか言って使われないのではないだろうか。それではまったく宝のもちぐされになる。それでなくとも、サッカー、ラグビーで8万137人、陸上で7万2634人という収容人員の競技場が必要であろうか。

そして、工事費である。1625億円(別に解体費67億円)で本当に済むのであろうか。この予算は単なる見込み中の見込みでしかなく、決算のときにこれを大幅に超えたら、予算を作った人たちは責任をとって辞めるのだろうか。その点をはっきりしてくれ。加えて、維持費に年間どれぐらいかかるのかといった見積もだされていない。だいたい、この工事費を見積もった連中たちが誰なのかその名をしっかり公表してもらいたい。

ということで、この新国立競技場の骨子は虚礼虚文または空理空論なものでしかない。

月曜日, 6月 16, 2014

美食日記「産直屋たか」(渋谷)

少し前に訪れたお店です。アップするのを忘れていました。m(__)m

渋谷・円山町。その昔は三業地(料理屋、待合、芸妓屋が集まった場所)として賑わったが、今は芸妓屋がほとんどなくなり、料理屋の流れをくむ飲食店と待合の流れをくむラブホテルが混在する。そんな混沌とした町のビルの地下にひっそりとあるお店が「産直屋たか」。以前よりその名は知っていたが、なかなか訪れる機会がなく、今回は知人に連れていってもらう。

お店は完全予約制。料理は魚介類を中心としたお任せのみで、アラカルトメニューはなし。料金は7,500円〜10,500円(税込)で、なんと飲み物(最初の1杯のビールとあとは日本酒のみ)代も込み。つまり、料理同様にお酒もお任せで、料理に合わせたものを出してくれる。そして、ある程度好きな量が飲める。ちなみに日本酒は日替わりで7〜8種類用意されている。

さて、料理だが店の名が語るように、全国各地から産地直送されてくる魚介類を食べられる。私が行った日は、大分県産の蛤と宮城県気仙沼産のいたや貝の炙り、北海道羅臼産の殻から出したばかりの馬糞雲丹、徳島県鳴門産のワカメ鍋 & 富山県産のホタルイカと◯◯産の鯛のしゃぶしゃぶ、北海道根室産のいくら、兵庫県香住町産の松葉ガニの自家製味噌漬け、◯◯産のマグロの脳天焼き、◯◯産の鯛の兜煮、と出てくるは、出てくるは。もうほろ酔い加減だったので、◯◯産は憶えていません。見た目は手のこんだ料理ではないが、素材を見事に活かしているので何を食べても美味い。

そして、料理に付随した形でいただいたお酒は神奈川の「昇龍蓬莱」、佐賀の「鍋島」、山口の「貴」、新潟の「景虎」、三重の「而今」、福島の「飛露喜」、静岡の「喜久酔」。ちょっと飲み過ぎたかな。(笑)

このお店の注意点としては料理には〆のご飯物や麺類等はないので、大食漢の人は初めから遠慮するか、2軒目を念頭に入れて訪れる方がいいだろう。ただし、魚好き日本酒好きならば十二分に訪れるべき価値のお店である。



火曜日, 6月 10, 2014

野球離れの打開策はもっといっぱいあるはずだ

子供たちの野球離れが深刻化しているそうだ。全日本軟式野球連盟によると、昨年度の少年野球チーム数(硬式のリトルリーグ745チームは除く)は13,291だった。1980年には28,115チームもあったそうだから半数以下になっている。一方、少年サッカーチーム数はJリーグ元年だった1993年に7,922チームだったが、2013年は8,668と微増している。少子化時代だからチーム数が減少するのは仕方がないとしても、このままだと、何年か先には少年野球のチーム数はサッカーを下回るだろう。

こうしたことを危惧してか、日本野球機構(NPB)は4月下旬に「NPB 未来の侍プロジェクト」の事業の一環として、小学校や地域の公園などに「壁当て遊び用の壁」の寄贈すると発表した。また、野球振興のために12球団や選手と協力して、小学校の授業に野球を取り入れてもらう活動や、指導者への講習も行っていくという。

確かにこうした具体的な活動をすることによって野球人気の回復を図るというのはいいだろう。しかしである。それとは別に野球に対するイメージ戦略も行ってほしい気がする。

少年野球には丸坊主というイメージはないが、高校野球にはそのイメージが強い。これでは、高校野球がまるで軍隊のようであり上下関係が厳しいイメージしかなく、楽しいイメージがほとんどない。このために、野球に興味がある子が他の競技を行うようになったり、また少年野球をやっている子ですら、中学・高校に入って坊主にになるのがイヤだという理由で他の競技に転向してしまったりする。こうした子供たちを獲得および維持するためにも、まずは高校野球の丸坊主を原則禁止するべきではないだろうか。高校サッカーでも丸坊主のチームはあることはあるが、高校野球ほどではないはずだ。

次にプロ野球選手たちのイメージアップを図るべきである。プロ野球選手たちの私服のセンスは非常にダサい。というよりだらしがない。サッカー選手たちとは比べものにならない。そのために、各チームは新人選手を中心に講習会を行い、ファッションセンスを磨くべきである。なんならば、ファッションアドバイバーを雇うべきではなかろうか。

またトーク技術も磨いてもらいたい。ヒーローインタビューで「最高で〜す」、としか言えない脳天気というか単細胞なことしか言えない会話力を改めてもらいたい。サッカー選手のようにもう少し気のきいたことや、しっかりとした内容のある分析能力のある言葉を発信できるような会話能力をつけてもらいたい。そうでないと、いつまでたっても野球選手は知的能力がないと思われ続けるだろう。

他にも野球離れの打開策はいっぱいあるはずである。もっと頭を使おうぜ、日本プロ野球機構および高野連などの野球関係者のみなさん。

日曜日, 6月 08, 2014

美食日記「ルエ ヴェル ロール」(麻布十番)

「ルエ ヴェル ロール」とはフランス語で“ゴールドラッシュ”という意味。

オーナーソムリエの千葉和外さんはカリフォルニア州ナパの大学で醸造学を学び、その後地元の有名レストラン「オーベルジュ ド ソレイユ」に勤務。帰国後はサイタブリア、オルタシアでシェフソムリエとして活躍。そして、この3月にこちらのお店をオープン。一方、シェフの中井慎太郎さんは世界最高峰のレストランと名を馳せたスペインの「エルブジ」をはじめ、日本料理、フランス料理の修行を行い、国際感覚に溢れた料理を得意としている。

店内は黒を基調としてスタイリッシュ。天井はおそらく3メートル50センチぐらいと高く、非常に開放感に溢れている。カウンターはゆとりのある10席でとてもリラックスできる。またテーブル席は14で周囲を気にすることなくゆっくりと時間を過ごせるようになっている。

料理はアラカルト中心だがコースメニューもある。

この日いただいた料理
・イカのプランチャ グリーンのピューレ
・オマール海老とホタテ貝のスパイスソテーと春キャベツ クレーム オマール

飲んだビールとワイン
・ハートランド
・オレゴンワイン「Sokol Blosser」ピノノアール
・オレゴンワイン「Eyrie」ピノノアール

営業時間は18時から26時と深夜まで遅く、早い時間は食事中心のレストランとして楽しみ、遅い時間はワインバーとして楽しめる2面性を持ち合わせている。そして、デートにも、落ち着いた女子会にも適している。まだオープンしたばかりで知名度は低いかもしれないが、いずれ人気店になることは間違いないだろう。

ルエ ヴェル ロール
http://www.la-ruee-vers-lor.com/

ルエ ヴェル ロールフレンチ / 麻布十番駅赤羽橋駅

夜総合点★★★★ 4.5




火曜日, 6月 03, 2014

美食日記「レフェルヴェソンス」(西麻布)for 誕生日祝

食べログ「東京ベストレストラン2013」で3位に入った「レフェルヴェソンス」。フレンチでは並みいる老舗店を上回り最高位を獲得。いまや東京を代表するフランス料理店といっても過言ではない。斬新かつ意欲的な料理、繊細かつ洗練されたサービス、開放感に満ちたゆとりの空間、そして、程よい緊張感とフレンドリーを併せ持った時間の演出と、何もかもが一流を目指しているんだという気概が伝わってくるお店である。

さて、この日のメニューは下記の通り。

・2種類のグリーンオリーブ
・桜鯛、桜海老、新玉葱、新わかめを2口で(写真左下)
・アップルパイ#14〜
  新牛蒡、砂肝、ローズマリーを3口で
・はじまり〜(写真右下)
  蛍烏賊とウド、ホンダワラ、
  塩漬けのレモンのエミュルション、本わさび、紀州梅の泡
・定点〜
  丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、
  バスク黒豚のジャンポンセック&ブリオッシュ
・春風〜
  やわらかく焼き上げた石鯛と菜の花、大浅蜊、唐墨、山椒の葉とオイル
・勇気〜
  フォアグラのナチュラル、クリンピースとフロマージュブラン“クワルク”
  バナナの燻製&キャラメリゼのエクラゼとミントオイル、瑠璃萵苣(ルリンチャ)
・右と左で〜
  金宣烏龍茶
・新緑〜(写真左下)
  岩手白金豚ロース肉を薪で焼いて、
  ふきのとうのピュレと甘酸っぱい肉のジュ、山菜たちと黒オリーブ
・厳選チーズ あるいは 時季のお野菜(写真右下)
・やわらかい陽のような〜
  ルバーブのコンフィととちおとめ、ニワトコの花香るビールのジュレ
  アールグレイアイスクリーム、ショートブレッドと溶け合うカスタードのヴェール
・大麦若葉のアイスクリーム
・カフェ・紅茶 ミニャルディーズ

最初は4個のオリーブ(1人につき2個)が一皿だけで登場。見ためでは解らないが2種類の味付けが施されている。1種はいわゆるナチュラルテイストで、1種はブラッドオレンジのテイスト。客がどちらかを選ぶかを楽しむようにしている。ただし、鼻が鋭い人なら嗅ぎ分けられてしまうかも。2品目は変わったオードブルの組み合わせとでも言おうか。泡に隠れて見えないがグラスのなかには桜鯛、桜海老、新玉葱、新わかめが入っている。それを口のなかに入れるとそれぞれが思いっきり主張しあう。味覚と共に触覚を楽しむという嗜好。そして3品目は何処かのファーストフード店でも売られているようなアップルパイ。だが、中身は贅沢なシロモノ。今回はバーション14だった。

ここまでがシェフの遊び心の表れで、本題はこれからである。

「はじまり〜」は螢烏賊。今年は螢烏賊の当たり年のようで、スーパーでも大きくて身が締まっているものが売られているが、ここではほんのり湯立てて、透明さを残しつつ、梅泡で食べるというお洒落感覚である。思わず日本酒が飲みたいなと思ってしまう。「定点〜」はスペシャリテの蕪料理。60度で4時間かけて調理したもで、繊維質を残しながらもほんのり甘みのある味わいを出す逸品。日本一の蕪料理といっても過言ではないだろう。「春風〜」はふんわり焼き上げられた石鯛。これもおそらく低温調理なのかと思うが、魚の身がふっくらと焼き上げられる技術に感歎。加えて、添えられた浅蜊、唐墨、山椒の香りはどことなく弦楽四重奏のハーモニーを彷彿させるような優雅さだ。「勇気〜」はフォアグラの料理。これは五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のハーモニーが美味しく、今度は木管五重奏を味わったような気分である。ブラボー!

「金宣烏龍茶」はちょっとした休憩タイム。1つのカップで2つの金宣烏龍茶の味わいを楽しむ。カップの半分が冷たいジュレ状で、もう半分は温かい状態になっている。すでにビール2杯、ワインを1本近く飲んでいる私にとってナイスなタイミングである。

続いて後半の始まりである。「深緑〜」は豚のロース肉を薪で焼いたもの。肉というものはどうして炭や薪で焼くと美味くなるのだろうか。この肉も鮮やかなピンク色に輝き、脂身の旨さが凝縮され、ちょっと形容がしがたいほどで、ある意味豚肉という概念を壊しているほどの美味しさである。脱帽。「時季のお野菜」は「厳選チーズ」との二者択一のメニューだが、野菜好きとしては(チーズも好きだが)今回も前回に続いてこちらを選択。全国各地のこだわり農家で取れた野菜を50種類以上を味わうようしているとのことだが、この日は60種類の野菜が盛られていた、というか飾られていた。それを今度は五味と共に五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を楽しみながらいただいた。大地の恵みに感謝である。

11品目から13品目まではデザートといった感じであろうか。このへんは私が書くには範疇外の食べ物であるので省略。(笑)

美味しい料理(フレンチ)を食べたい、美味しいお酒(ワイン)を飲みたい、美味しい空間を楽しみたい、そして、美味しい時間を過ごしたいという人は、こちらの店を訪ねることをおすすめする。ディナーはちょっと値段がはるが、ランチならリーズナブルではないだろうか。ただし、上記の願望をすべて叶えるには、少し生意気なことを書くようで申し訳ないが、単に訪ねて食事をするというだけではなく、会話力=社交性も必要となるのではないだろうか。それは単に料理(食材)やお酒などの知識だけではなく、いろいろな会話を同行者とすることで料理は美味しくなり、またギャルソンやソムリエと会話することで、より一層楽しい時間を過ごすことができるのではないだろうか。

昨年の5時間にもおよぶ滞在時間には及ばなかったものの、今回もシェフの生江史伸さんとは洞爺湖にある「ミシェル・ブラス トーヤ」時代からのお仲間であるディレクトールの青島壮介さんといろいろな会話が弾み、4時間余の美味しい時間を過ごした。メルシー・ボクー。